めまいについて
めまいには、命に関わり救命救急に行かなければならない危険なタイプと、症状は辛いのだけど命には関わらないタイプのものが存在します。 命を脅かさないタイプのめまいは、幾つもの原因が重なっていることが多いのですが、同じ患者さんが、幾つかのめまい専門外来で受診しても、違う病名がつく事があります。 A病院ではメニエール、B病院では自律神経失調症、C病院では耳石の問題からの、良性発作性頭位めまい症、また、D病院・脳神経外科では、水分不足が大きな原因になっているといわれたりもします。実は、この話は僕自身の経験なのですが、決して特殊な例ではなく、めまいそのものの原因が曖昧であるため、拡大解釈をするとどれも正解なのだと思います。そして、僕と同じように、幾つものめまい外来に行っても、なかなか改善せず、幾つもの病名がつく方が沢山いるのが現状です。
首コリ
めまいは、耳だけの問題とされる事が多いのですが、実は、めまい持ちの方に圧倒的に多いのが、めまいに並行して、首コリという一見聞きなれない症状や、こめかみ、側頭部のコリが強く出ていたりする事です。医療が細分化される事で、沢山のメリットも存在しますが、逆にデメリットとしては、各感覚器の繋がりが遮られてしまった事があります。眼精疲労などの眼という感覚器が弱い状態ならば、常にそれを補うかのように、他の感覚器はフル活動する状態になります、結果、頭部・頚部に存在する無数の筋肉は酷使されるのです。それらの緊張から、循環不全が起こり、ただでさえ血流量が少ない耳という器官は、更に循環が悪くなり、結果、栄養不足と酸素不足からのめまいがおこる可能性が大きいのです。 当たり前といえば当たり前です。少しの想像力があれば、決して難しい話ではないのですが、この感覚が、却って医療を学んでしまうと無くなってしまうような傾向にあります。 その理由に、今の耳鼻科学には、頚性めまいは存在しないのです。おそらく、このような理由で、原因不明のめまい、頭痛に苦しまれている方は沢山存在するかと思われます。
筋肉に直接アプローチする鍼治療
トリガーポイント鍼治療を受ける以前から、気がついていた事がありました。それは、めまい発作時に並行して必ずおこる顔面・側頭部・頚部等のコリを解していくと、めまい自体がおさまる傾向にあるという事です。その刺激を、鍼というものでリアルに行っているのが、トリガーポイント鍼治療なのです。この鍼が素晴らしいと感じたのは、慢性の頚や肩こりに対して、ただただ漠然と痛い場所、コリの強い場所に鍼を打つのではなく、凝っている筋肉を解剖学、運動学を駆使して探し出して、更に、数ミリの硬結と呼ばれるようなコリの強い場所に鍼を打つ事で、 凝り固まって辛い症状そのものが、再現されるかのように患部や、もはくは、全く離れた場所に「づづづ」と響き、更には、足の方までに、ふわりと浮くような感覚が起こったりする事です。実はこの「ふわり」こそが、僕のめまい症状そのものであり、いつもの嫌な感覚に近いものでした。そして、その感覚が起こると治療後には、かなり楽になるのです。(これを再現痛と表現したりします)
この治療は、めまいだけでなく、筋肉のこりなどが原因となって起こる疾患全般に適用され、長年、探していた自分の理想の治療の一つが見つかった時の喜びは今でも鮮明に覚えています。