身体全ては細胞という最小単位のものから出来ています。それは約60兆個あり、病気やそれ以前の不定愁訴と呼ばれるようなものは、細胞一つ一つの正常代謝が、スムーズに行われていない事が原因であるという考えから成り立っている栄養学を分子矯正医学と言います。
少し細かくお話します。例えば、車が見栄えや性能を無視して、走りさえすれば良いとした場合、そのために必要な部品をイメージしてみて下さい。車を構成しているパーツはタイヤ・バックミラー・窓ガラス・ワイパー・テールランプ・アクセル・ブレーキ・ドア・カーナビ等、どれも大切だと思いますが、とりあえず走りさえすれば良いという前提で考えると、アクセルがなくては走ることが出来ません。タイヤも四本は必要です。しかし、カーナビはなくても問題ないですし、ワイパーも削除可能です。窓ガラス…安全かどうかは別にして無くても走れますね。ギアで云えばバックのギアはなくても、性能に制限がつきますが、とりあえずは走れます。このように、走るために最低限の部品だけを集めていくと、仮に46個という数があるとします。これを必須部品46個としましょう。
車の話に対比させていくと、そこから1つでも部品が無くなると、車は車としての機能を失いただの鉄の塊と化してしまいます。人間でも同じ現象が起こり、この46の栄養素が一つでも欠けてしまうと、細胞間の正常代謝がスムーズに行われなくなり、生活習慣病と呼ばれるような、様々な病気の引き金になるという概念が分子矯正医学とか、分子整合医学・正常分子栄養学などと呼ばれるようなものです。
最近では、ローフードという概念が歩き出しているようですが、果物や野菜の写真これなどは、酵素栄養学というものが、より一般向けになった形の一つです。そして、酵素栄養学とは、分子矯正医学と兄弟のような存在なのです。酵素はタンパク質(アミノ酸)をベースにしつつ、補酵素という形で、ミネラルやらビタミンが背後から支えているような関係なのです。酵素がなくなると、人は一瞬にして、細胞間の連絡が絶たれ、即、死を意味すると言ってよいのてずか、その酵素は、先に書いた46の必須栄養素なしには成り立たないという図式になっています。 糖質・脂質・タンパク質という三大栄養素を中心にカロリーというものが主流の日本の栄養学にはこの概念はあまりないようです。
勿論、糖質も脂質も非常に大切なのですが、それらは、微量ミネラル・微量ビタミンがあってこそ、初めて成り立ってくるという事が、日本の栄養学に抜けているのだと、この道の先生方は説いています。
例えば、脚気という病気は、ビタミンB1の不足によって起こることが判明しています(脚気とは、心不全・末梢神経障害などから足のむくみ・シビレを起こす病気)。この病気を治すには、薬よりも、ビタミンB1を補給したほうが懸命です。そして連鎖して、マグネシウムを中心としたミネラル類も必要になってきます。
糖質・脂質は身体に対して、エネルギー源になりすいものです。これを学校の机に例えてみます。学校の教室に机40台があり、この机(糖質・脂質)を効率よく生徒が使うには、40脚の椅子が必要になってきます。この場合の椅子を微量ビタミン・微量ミネラルとします。仮に、椅子(微量ビタミン・微量ミネラル)が20脚しかなければ、いくら机が40台あっても、20台の机は、場所だけとってかえって邪魔になってしまい機能は半分以下、場合によっては、無用の長物になってしまいます。それには、椅子(微量ビタミン・微量ミネラル)を20脚増やす事をしなくてはなりません。この不足分こそが、現代における、ビタミン・ミネラルの栄養不足を示しています。
タンパク質や糖質などのエネルギー源(机)があっても、それを細胞間で処理し、代謝させていくためには、微量ビタミン・微量ミネラル(椅子)が必要なのです。
また、分子矯正医学と一つのくくりなっていますが、マグネシウムに重点をおく考え方から、鉄をベースにしているもの、ビタミンCをメインにしたものなど、様々な先生方がいるのです。
体内のビタミン・ミネラルの量を測るのに、一般の血液検査では行われない検査をしたり、肝機能・腎機能の値を別な見方をしながら、不足する栄養素を見つけ出したりもします。また、毛髪分析という検査では、髪の毛を使って、有害ミネラル・例えば水銀やアルミニウムの体内含有量を測定しデトックスに役立てたり、必須ミネラルを事細かに分析しながら、どのように代謝不全を起しているのかを調べたりもします。
僕は、鍼灸に進む以前から、この分子矯正医学を学ぶ機会に恵まれ、自分の食生活を見直す基準にしたりしています。